shrichangの日記

好きな漫画や小説の感想、オンライン講座、心の健康のことなど書きます。

「ホームレス・ホームズの優雅な0円推理」のあらすじと感想

 

ホームレス・ホームズの優雅な0円推理 を読みました。

 

 

[広告]

ホームレス・ホームズの優雅な0円推理 (富士見L文庫) [ 森 晶麿 ]

価格:748円
(2020/1/16 10:21時点)
感想(0件)

 

 

 

現代の東京で

住所不定の名探偵シャーロックと、可愛いワトスンが

医学部で起きた不可思議な事件に挑みます。

 

 

 

 

 

 

 

〜ネタバレあります〜

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公の岩藤すずは、自分のことを「ボク」と呼ぶちょっと変わった女の子です。

 

自分をシャーロック・ホームズの助手ワトスンの生まれ変わりと設定して、

ホームズとの出会いを心待ちにしている。

 

名家の令嬢でありながら、お転婆で自由奔放。

すずを母親のように心配する執事の叢雨(むらさめ)をいつも振り回しています。

 

 

物語は、そんなすずが蔦野医科大学の医学部受験に不合格となったところから始まります。

 

成績優秀で自信満々だった彼女。

自己採点では確実に合格圏内だったはずなのに・・・

一体なぜ?

 

不正入試を疑ったすずは、証拠を得るために大学の答案保管場所に潜入しようとします。

 

 

その途中で出会った謎の研修医。

すずが受験に落ちたことを不服として侵入してきた受験生であることを、即座に見破ります。

 

女性差別が公然と行われている蔦野医科大学で、不正を追求しても無駄だと忠告する彼。

 

それでも一向にめげないすずに

その研修医は、監視カメラをかいくぐって答案用紙の保管部屋に入る方法を伝授してくれます。

 

 

そして、別れ際に彼女のことを「ワトスン嬢」と呼ぶのでした・・・

 

 

 

すずが答案用紙の保管場所と思われる部屋に近づいた時、

彼女は獣の鳴き声のような奇妙な音を耳にします。

 

その後、部屋から慌てて出てくる男性の姿を目撃。

 

 

部屋の中に入ったすずが目にした光景は・・・

犬の足跡のような赤いシミが着いた答案用紙。

それは、すずとほか数人の受験生ものでした。

 

 

 窓から外を見ると、血を流して倒れた男性を人々が取り囲んでいる。

 

 

すずがその状況を推理しようとしていると、誰かがやって来る足音がします。

とっさに隠れる彼女。

 

そこに現れた美しい女性は、

化け犬の呪い

と呟きます。

 

 

亡くなった男性は蔦野医科大学の副学長でした。

 

 

 

事件の謎を解明すべく、再び大学に潜入したすず。

彼女は、そこで シャーロック・ホームズ と出会います。

 

 

 

 

********

 

 

お金持ちの令嬢で頭が良く、自由奔放に生きるすず。

一見、何不自由なく育ったおてんば少女に思われますが・・・

 

彼女は母親を亡くしていて

すず自身も、幼いころに恐ろしい事件に巻き込まれて左目を失う、という過酷な体験をしていました。

 

 

その事件はシャーロックの暗い過去と深い関わりがあって、

普段のコミカルなやり取りからは想像できない、切なく哀しい縁で結ばれたふたり。

 

 

 

物語は明るく軽妙なトーンで彩られていますが、

ときおりすずやシャーロックが放つ、真実を射抜く言葉が心に刺さります。

 

 

 

たとえば 

ホームレスであるシャーロックは、ベイカー街を模した都市を地下に築き、

費用ゼロとは思えないラグジュアリーな生活を送っているのですが

 

それを可能にしているのは、大量消費社会。

 

 

 

ホームレスではない人々を「ゴミ生産機」と呼ぶシャーロックに

自分の日常の行動を思い返さずにはいられませんでした。

 

 

 

心に残るシーンはいろいろあるけれど

 

すずが、過去に巻き込まれた事件の関係者と偶然再会します。

彼女の許しを乞う相手を、何もわからないまま「許す」すず。

 

 

物語を最後まで読み終わった時、はじめてその「許し」の重みが感じられて

あらためて、すずは強い女性だと思いました。

 

 

 

このバディの活躍、また見たいなぁ